パリの思い出

私のお仕事は輸入、卸になります。


今のところハワイと東欧の商品を扱っていますが

私が輸入のお仕事をしたいと思ったきっかけが

2004年に滞在したフランスでした。


準備のために4年前の11月パリに私はおりました。


始めの目的地であるボルドーからパリに帰ってきた私の3日間は

珍道中そのものでした。


モンパルナスにある格安ホテルを拠点とし、

3日間でやるべきことをしなければならないスケジュールでした。


当時、東京で借りていたレンタルオフィスが

東京や大阪、福岡など日本拠点のほかに

ロンドンやニューヨークなど、

そしてパリにも支店がありまして、

ビジネスにおいてお世話になるために

そこに挨拶しておかなければなりませんでした。


しかし、その前に訪れたボルドーからパリに戻ってきた時

いろいろな疲れが出てきてしまい

朝、体が重い・・・。

1日寝ていたい・・・。

体が泥のように重くて起きれないのです。

朝ごはんも食べず10時が過ぎ、12時が過ぎ・・・

しかし、3日間しか時間はありません。


1日目は事務所に挨拶に行く、

2日目は商品サンプルを買いに行く、

3日目はパリから電車で2時間ほどの場所に商品購入についての交渉に行く。

こんな感じの予定を組んでいました。


そして、事務所へのご挨拶は、

平日であるこの日の金曜日しかチャンスがなかったのですよ。。。


予想以上の体の疲労にスケジュール消化できる自信を失いつつも

お昼もだいぶ過ぎた2時頃、

えいやっ!と気合を入れ、出かけました。


電車で支店のある駅に着いたものの

迷うこと1時間ほど・・・

スマホ片手に何人かの人に道を聴いたり

時にはApple Storeに入って尋ねたり。



ようやく、事務所のあるビルには到着したもの、

ビルといっても縦長のビルではなく、

低層の大きな建物がひとつなぎになっていまして

左右にショッピングモールがあり、

その間に事務所があるようなのですが

入り口がわかりません・・。


スマホの地図でも確実にココだ!と指している場所なのに

事務所の入り口が見つからないのです。


左のショッピングモールの入り口にはセキュリティのために

ガードマンが立っているのですが

事務所の入り口がこの辺にあるはずなんだけど、と尋ねると

ああ・・そういえば、あの辺に入り口があったと思う、と、

教えてくれました。


しかし、その方向に行っても

ただただ別のショッピングモールがあるだけ。

右側のショッピングモールですね。


あれ?と、

今度はそっち側のショッピングモールに入り

入り口にいるセキュリティの男性と女性に尋ねました。

バッグをチェックしてもらいながら

実はこの事務所があるはずなんですが、と説明する私に

男性は、知らないなあという表情。


女性も、たしかに住所はここなんだけどわかんないわね・・と。

でも、ちょっと待って。インフォメーションに行ってみてと

下の階にあるインフォメーションに案内されました。


そうなんですよね。

私の探している事務所の住所、確かにそれはこの場所で間違っていないんです。


インフォメーションで聞くと、

やはり同じように、住所は合っているけど

それはここではない、というお返事。


おかしいな、

でも、このショッピングモールの間にはなにもなかったのに・・と

おそらく悲しげな背中でそのショッピングモールを後にした私。


何度かその左右のショッピングモールの前を行き来し

もう一度その右のショッピングモールに戻ったり。。。

セキュリティの男性は「え?また来たの?」という顔です。


そして、また外に出て、右と左のショッピングモールの前を行き来し

違うー!どこだー、のループを繰り返し

その心の叫びが今にも口から出そうになりながら歩き・・・


私は焦っておりました。

事務所の営業時間がなにせ17時30分。

もう17時近くになっていました。


最後にもう一回聞こう、と

また右側のショッピングモールに行きました(3度目)。


男性のセキュリティの方はちょっとびっくり、その後苦笑い。

またあんたか・・という表情。


はい。笑っちゃいますよね。そりゃそうですよね、

私もちょっと面白いですよ、と心で呟き

バッグ、はい、どうぞ、チェックして、と

事務的にバッグの中身を見せ、

本当に、ここの住所はこの地図に出ている場所で間違いはないですか?

ここは2階はないですか?と

詰め寄る私。


しかし、女性のセキュリティの方は一言。

ないわ。ここだけよ、と。


はああ、と肩落とし、

もうだめかなあ・・、

1日寝ていればよかったかなあ、と後ろ向きに

そのショッピングモールを去る私。

その日稼いだかなりの歩数により、さらに疲労が重なっていて

ネガティブになってしまってました・・・。


けれど、

ふら~っとビルを出て少し歩いたその時!


ビルはひとつなぎになっているんですけど

私が何往復もしたその左右のショッピングモールの

ほんの少しの間に小さな道が!


は!

もしや!と入っていくと


ありました!!

事務所の入り口です!!

ここだ!ここだ!と奇跡を感じた私。


なんでこんなとこに・・・

なんで、見つけられなかったんだろう、

けれど、こんなトリッキーな作りにしなくても・・・・。

と思うくらい、その事務所の入り口はわかりずらい所にありました。

突然、ふっと現れたかのように存在したその脇道。


しかし、とりあえず、17時ちょっと前。

なんとか間に合います!

急いでそのビルに入り事務所のある2階に着きました。


体力いっぱいいっぱいの中

ああ、また英語しゃべらないといけない・・。

(フランス語習っていましたがビジネスではまだ使えるものではなく・・・)

しかし、今日なんとかここまでたどり着けた。

残る体力すべてで今日やるべきことをやるのだ。


事務所にはそれぞれの拠点にメインマネージャーのような人がいます。

さ!がんばるぞ!と気合を入れ事務所に入ると

なんとそこには日本人のマネージャー様が!


私たちの最初の会話は

私、日本の方ですか?

そうです。と。


倒れそうなほど疲れていた体に鞭打って出てきた甲斐がありました・・・

・・・・そこまでは言いませんでしたが


うれしかったです。

マネージャー様は上品で笑顔が素敵なとても美しい女性の方でした。

パリに移住してこちらのお仕事をされているとのことでした。


私のようなネイティブでない英語スピーカーにとって

英語での会話は体力が要ります。


日本語でご挨拶できることでおかげでストレスが緩和されました。

そして、その後のご挨拶と自己紹介、

スタッフの方とのコミュニケーションはスムーズに済み

事務所を後にしました。


11月、6時近いパリの街はすでに日が落ちて暗くなっていました。


それでも今日のミッションをやり遂げた充実感と共に

マクドナルドで軽食を済まし、

駅近くのコーヒーショップでまったりしておりました。


が!

鞄の中に入れたはずの

ホテルの部屋の鍵がないことに気づきました。。。


すっかりリラックスしていた私はまた緊張状態に。


それというのも

その前のボルドーでのホテルは

鍵をなくしたら日本円でいう1万円ほどのペナルティがあったのです。


それを思い出し、

ただでさえ、フランスに到着後、

目的地への電車に乗り遅れの為チケット買い直しで

余計なお金を使っている私です。


どうしよう、と思いながら

ホテルフロントに電話をしました。


電話先は、チェックインの際にいた

とても感じのいい若いお兄さんでした。


「今、自分がいるのは〇駅で、部屋の鍵をなくした」と伝えると

「ああ、OK。新しいの用意しておくよ。」

と、あっさり。


え?と拍子抜けした私に、彼は優しく電話口で


「いいかい?君がいるのはこの駅なら〇線の、〇〇行きに乗って

〇〇駅で降りるんだよ?いいかい?待ってるからね」

と。


・・・わたしゃ3歳か。


とは言いませんでしたが、

優しいお兄さんの言葉に感謝し、

とりあえず安心しました。


温かい心遣いがありがたかったです。


そういえば、

このお兄さんは、チェックインのあと、部屋にチェーンが付いていないから

部屋を変えてほしいという私に、

「大丈夫だよ、誰も入ってこないよ。僕が君を守るから大丈夫」と

少女漫画に出てくるようなセリフをさらっと言ってのけてしまうお方でした。


帰路につくと

(このホテルも駅から1kmくらい歩かないといけない・・・)


そのお兄さんとは違う、

でも、やはり感じのいい別のお兄さんが受付に。

私が電話した時はちょうどシフトの切り替えの前だったのでしょう。


事情を話すと、ああ、君か、預かっているよと

新しい鍵をくれました。


あの・・・・代金は?と尋ねると


?という顔のお兄さん。


いや、あのー、鍵をなくしちゃったから、です、と言うと、


ああ、いらない、いらない、と。



なんだか・・・取り越し苦労だった。


たぶん、よくあることなんでしょう。

私がその前に泊まったホテルは

かなり高級なホテルでしたので

鍵をなくしたペナルティが大きかったんですね。


ああ、よかった、でも、感情の振り幅大きくて疲れた・・・。

でも、生きてるなー、私、と。

勉強になりました・・・・。



その日も泥のように眠ったのは間違いありません。



結局この日は、事務所に挨拶に行った。

それしかしていません・・・。


でも、その日の体験に感謝しています。



珍道中はまだ続きます。

またそれは次回に。





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